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怪獣日記2006.A
この種族は時々化石化して休眠する。
それは『ニャンモナイト』と称ばれ、縞模様状の節目の入っていることが多い。
が、色、柄、大きさの豊富さも特徴で、時々びっくりするほどユニークなものも見られる。
ただし、ニャンモナイト自体は珍しいものではない。
昨日は大阪には珍しく雪、山科のインターに入る頃には既に積もり始めているという寒さ。
おかげで加賀ではたっぷりの雪景色と情緒を楽しんだが、置いてきた怪獣は、慣れぬ寒さと火の無い部屋で、どうして過ごしたのだろう。
いくら猫ベッドに携帯懐炉を仕込んできたとはいえ……
もっともそんな心配は、現地ではコロっと忘れた(笑)
薄情かもしれないが、数年ぶりの温泉旅行!
ビジホでもなく民宿でもなく、上げ膳据え膳に温泉つき! 何よりムダに起こされずにゆっくり眠れる!(爆) ちょっと勘弁してもらおう♪
美味しいものとお酒と温泉を楽しんで、ほこほこと帰宅すると、予想通り餌皿は空。
……いつから空っぽだったんだろう(自業自得とはいえ)……
とりあえず餌をちょっと多めにやり、寂しかったであろう事を考慮して、膝で甘えさせる。
それでも暴れてはいないし、抗議行動も無いし、一泊旅行くらいなら、これからも『自宅で留守番』出来るかもしれない。
それ以上になると、やはりペットホテルのお世話になる必要が有るだろうが。
姪っ子が暇ならアルバイトに留守番とシッターをしてもらうのだが、最近はフリーターとはいえ、せっせと働いているようなので。無理は言えない。
ま、それはその時考えよう。
どうせ次の旅行は、当分先の事だろうから。
寝る前に甘いものが欲しくなって、甘栗を開けた。コンビニなんかで売っている、パックの剥き栗だ。するとやっぱり怪獣がやって来る。
人が何か食べてると気になるらしく、味見をさせろと要求するのはいつもの事だ。
何を食べていても来る。食事でも、おやつでも。
何故か一辺味見をして、「これは自分は好きじゃないな、いらないや」とか「コレ何?! 大っ嫌い!」とか認識したものでも毎回やって来る。そして「コレ嫌い、臭いの!」と砂をかけるマネをする。コーヒーなんかはその代表だ。
(今回だって、どうせ食べないクセに……)
←除けてもわざわざ嗅ぎに来る怪獣。
無視して食べてると、袋に顔を突っ込んで匂いを嗅ぎだした。しつこいので、
「ほらあ、栗だよ? 食べないでしょ?」
と、欠片を少し鼻先に出して、訊いてみた。
ふんふんと匂いを嗅いでいた怪獣、今度は舐めてみる。
そして、おもむろに食べた。
しかも、気に入った様子。
「にゃー!(ちょうだいっ!)」
あ、間違いなく気に入ってる。しょうがないので、もう少しやる。また、もう少し。
結局小さいのを一つ、丸々嬉しそうに食べた。
なんで好きなんだ、そんなモノが……
怪獣がしつこく頼みに来るので、本棚の下、大捜索。
捜索対象は、甚八君及びに甚子ちゃん。
お気に入りのオトモダチだというのに、いつも最後はサッカーのゴールよろしく、ストライクをかましてしまう。
……というより、夢中になっているうちに、不可抗力でやっているのだろう。もしかしたら、甚八君達の『逃げ切り勝ち』かもしれないが。
←甚八君、逃げ切り勝ち。
転倒防止に板を咬ましてある方の棚は、その分隙間が狭くなって(私の)腕が入らないので、
「ねえ、届かないの、取って!」
と訴えられても大概、
「それは無理。しょうがないね、ちょっとは力加減を覚えなきゃ」
と突っぱねていたのだが。
先に周囲に掃除機をかけ、覗いてブツの位置確認。
それから腕をまくって(ちょっとでも細くする為)板をクリアし、出来るだけ腕を突っ込んで指を延ばし……
届いた。
取り出して(狭いから、落とさずに取り出す方が難しい)放り投げると、早速『狩り』の体勢に入った怪獣がジャンプ!
イキナリ始まる、ネズミサッカー。
結局甚子ちゃんが一匹と、甚八君が四匹出てきた。
(でも掃除の続きをしてる間に、全部また失くしちゃうんだろうな……)
因みにその時点で既に、甚子ちゃん、行方不明。
……掃除を終えたら、甚八君は三匹に減っていた。
朝起きて、布団をすぐに片付けないまま(夜間、吸収した水分を抜くため)ご飯を食べていたら、怪獣が丁度、人が寝ていた辺りの毛布をがしがし掻いている。
「ティーさん、何してんの?」と見に行ってみると、なんと久々の大洪水。
……一体、何事?!
トイレの砂も、まだちゃんと使える量と状態じゃないか……
幸い毛布は撥水処理がしてあるので、すぐには染みこまない。とはいえ染みも臭いも御免被りたいので、即、洗濯する。
一番上のタオルケットも、心なしか臭いような気がするが、染みは無いように見える。
(……乾いてるし)
しかし畳み始めて裏を見ると、大きな染みが!
……うぬう、フェイント。
濃い大柄だから、気付かなかったぜ。
(ん?)
したら、こないだの明け方、カリカリやってたのはコレかい――ッ!!(怒)
仕事の合間で良かったよ。
出勤しなきゃいけない時だと、洗濯は後回しになる。
怒っている事を思い知らせる為に、本日一日「あっち行け!」とスキンシップ拒否。
寄って来ても、その度押しのけて距離をとっていると、流石に悪いと思ったのか、比較的おとなしくしていた。
でも、鶏頭(猫のクセに…)だから、すぐに忘れるだろう。
朝起きてから、人の枕元に丸まっていた怪獣にもう一度、厳重注意をして許す。
スキンシップ拒否が相当堪えたらしく、今日の怪獣は、やたら膝に乗りたがる。
そういえば朝も、おとなしかった。いつもなら自分が目を覚ましたら、
「起きてー」
と、人の顔を触ったり引っ掻いたり、果ては噛み付いたりするのだが。
そして珍しく夜中もおとなしかった。
すると普段、あれだけしょっちゅう「お腹空いたー!」と食べ物を要求するのは、ただの我侭なのか?
因みに今日もおとなしかった。
食事に関しては、長いスパンに慣らす事が出来そうだが、その他の事も、躾け直しのチャンスかも。
コーヒーを飲みながらパズルを解いていたら、部屋をカッ飛んでいた怪獣に、顔を蹴られた。
別に、寝っ転がっていた訳じゃない。座っていたにも関わらず。
しかもご丁寧に、人の鼻と鎖骨を足がかりに踏み切って、横っ飛びに飛んで行った。
……痛い……
そのすぐ後、てけてけと戻って来た怪獣が寄って来たので、
「ランボー者は、あっちへ行って頂戴!」
と怒って、ぐいと押しのけたら、
「なんでー?」
という顔をされた。
……本っ当〜〜〜に、解ってないのか?
それとも(怒らせたかな〜?)というお愛想か?
……この家庭内暴走族。
二日続きで晴れ。
雨が続いていたので中々取り込めなかった毛布を、ようやく片付ける事が出来る。
……で、毛布を抱えたままドアを開けたら、一瞬の隙を突いて怪獣が脱走!
抑えようとしたが、荷物が邪魔になって逃げられる。大慌てで毛布を玄関先に放り出し、後を追った。
うぬう、油断した……
コイツは施術済みだが、時々妙に外に出たがる事がある。
その、いつもの『お外に行きたいよう症候群(←そんな病名はナイ)』が、またぞろ出たのだろうか。
怪獣、一瞬振り向くが、そのままいつものガスボンベ置き場(ウチのアパートの辺りは未だにプロパンなんである)に潜り込む。
「こら! 戻って来なさい!」
「にゃー(嫌ー)」
……ほう。あくまで逆らう気なんやな?
「よーし、わかった! もう知らんからね!」
と言い捨てて、一旦家に戻る。
お腹が空けば帰ってくるかもしれないし、万一そのまま探検に出てしまっても、一応首輪も名札も付いてるし。
そう思って毛布を畳み始めたら、ドアのすぐ外で悲壮な泣き声が上がった。
「に゛ゃお――――ん!!」
……帰って来てました(笑)
『に゛ゃおーん』というか、『み゛ゃおーん』というか。
明らかに濁点付加気味の、心の底というより腹の底から搾り出すような、大声の一鳴きだった。
正に絶叫。
「……入んなさい!」
ドアを開けてやると、ささっと入る怪獣。
今年最初の家出、一分経たずに終了(挫折とも言う…大爆)。
以下、生猫通信出張版・『瞬間家出』より、皆さんのコメント。
Re:瞬間家出 2006/03/21 みけ
多分春の陽気でそわそわして、
何かとかまってもらいたいんでしょうね。
そんでもって無視されると急に寂しくなって戻ってくるんでしょうね。(笑)
「に゛ゃお―――ん!」と喉の奥から出る甘え声。
いやあ〜春の風物詩ですなぁ〜♪(ほのぼの)
Re:瞬間家出 2006/03/21 雅
プチ家出。
いや、超プチプチ家出(笑)
寂しがり屋さんには、家出は無理ですね。
ドアを閉められたら、入れてもらえないかもと不安に駆られたんでしょうか。
ReRe:瞬間家出 2006/03/21 縁
いや、ホンマに濁点付いてました(笑)
閉め出された子供が泣き叫んでるような感じ(一声だけやったけど)。つまり、
「おかーさん、入れて――ぇ!」
もしかしたら去年の秋の『山寺大脱走→立て籠もり事件』で、
私が「もう知らん!」と言うて去ったら、また本当に置いてかれると学習したのかも。
それなら、ちょっと進歩。(笑)
怪獣、今日も人の布団に局地的大洪水を見舞わせる。
……ホンマに、なんやっちゅーねん!
そういえば、去年も今頃こんな事が続いたような……
今度ワクチンに行ったら、先生に聞いてみよう。
今日から新しい職場に出勤。
怪獣のヤツ、寂しかったのか、イキナリ粗相二連発。
朝は早朝から暴れてると思ったら、人間トイレの前に大。帰ってきたら、入浴してる間に人の布団にまたもや大洪水。
怒。
やめてよー、そうでなくても疲れてるのにー――!!
今日は休みなので家事の日。
疲れてるから、と寝たおすと、一日がすぐ終わってしまう。
土日祝無関係の不定期出勤で、連休が少ないとなると、普段の休みはえらく貴重だ。
職場そのものが発進したばかりでバタついているから、出れば残業という日々が続いている。
怪獣もさぞや、寂しい思いをしているだろう。
幸いあれから粗相は無いが、今日の怪獣は甘えん坊だ。
ご飯の後、コーヒーを飲む間くらいは甘えさせてやろうと膝に抱き取ると、寝転がらずに座ったままの姿勢で私の腕に身体を預け、掌に顔を埋める。
……え? 寝る構え?
そんな格好で、しんどくないのか?
……寝ました。
それは別に良いのだが、両手が塞がってしまったのでコーヒーが飲めない。
『猫とコーヒーと私』の三角関係は、圧倒的に猫、強し。
……かくしてコーヒーは、空しく冷めてゆく……